遺言以外で、相続人その他特定の人にすんなりお金が行く方法 

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相続開始後、残った特定の人に、確実に現金を残す方法には、遺言による方法が一般的ですが、遺言による方法以外に生命保険の利用があります。

遺言による方法では、相続開始後、預貯金の出金手続のために、それぞれの金融機関独自の指定用紙への記入手続、一連の除籍謄本、戸籍謄本や相続人全員の印鑑証明書などの提出など煩雑な手続がある場合があります(2017年からの法定相続情報証明制度により若干、効率的になりそうですが)。

 

その点、生命保険の利用であれば、遺言と関係なく、基本的にあらかじめ指定された受取人が単独ですんなり保険金を受け取ることができます。

 

[1]相続財産と死亡保険金が別扱いの理由

相続において被相続人の財産には、死亡保険金(被相続人の保険料負担分)は含まれず、受取人の固有の財産となります。このため、基本的に遺言の記載事項ではなく、相続人間で行う遺産分割協議の対象となる被相続人の財産でもありません。

 

[2]相続税法での取り扱い

上記のように死亡保険金は本来の被相続人の財産ではありませんが、被相続人が保険料を負担していれば、被相続人に由来する財産であることは変わりないので、相続税法では相続財産とみなして死亡保険金に課税することとしています。

 

[3]相続税が課税されない金額の枠がある

相続人が受け取る死亡保険金(被相続人の保険料負担分)の内一定額は、相続税が課税されない、という非課税規定があります。

保険金を受け取る相続人の数とその金額により変わりますが、基本的には法定相続人ガ1名増えるごとに500万円づつ非課税枠が増えます。

 

[4]その他生命保険利用のメリット

・保険であるため、生前の掛け金総額に対して死亡保険金は多額となる可能性があります。

・被保険者が高齢となっても加入できる保険商品もあるため、早急な相続対策に有効となります。

・特定の相続人が不動産を取得する代わりに、その相続人が他の相続人に現金を支払う、とする代償分割において現金を準備しておく手立てとなります。

 

*生命保険を利用した相続対策は、他にも数パターンあります。

いずれにせよ生命保険にはさまざまな種類や加入形態がありますので、目的にそった選択が必要ですね。

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