生前贈与加算とは何か?

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相続税は、相続開始の時にある被相続人の財産について課税されますので、相続開始の時に時価でどれだけの財産があるのか、ということが相続人にとって重要な関心事ですよね。

しかし、なんとその相続開始の時から過去にさかのぼって3年間にあった贈与についても、相続税の計算に取り込まれてしまう、という相続税の規定があります。

 

 

相続開始の日が2017年8月23日であったら、3年前の同じ日である2014年8月23日からの被相続人からの贈与について、その贈与財産が相続税の課税対象となります。

その相続税に加算されるときの贈与財産の価額は、贈与時の価額となります。

ですから例えば、上場株式が贈与時の時価200万円、相続時の時価300万円だとしたら、得になり、逆だったら損している格好になります。

これが生前贈与加算という規定で、この生前とは、死ぬ前3年間です。

 

相続又は遺言で財産をもらった人はこの規定があり、そうでない人には加算されません。

贈与税の申告をしていたら贈与税を控除できる

相続があった年の前年以前に贈与があり、贈与税を支払っていたら、この規定で贈与財産が相続財産としてと取り込まれる代わり、その財産に対応する贈与税額を相続税から差し引くことができるので、相続税より割高な税率により贈与税を支払っていた相続人などにとっては、メリットのある規定となります。

ただし、相続時精算課税の制度と違い、計算した相続税より、贈与税を多く払っていても、引ききれなかった分の贈与税は還付されることはありません。

 

年間110万円以下であっても加算

贈与税は、贈与を受ける人が暦年110万円までの贈与であれば、申告も納税も不要ですが、生前贈与加算では、暦年110万円未満であっても加算しなければなりません。

 

 

*相続税の申告関係では、このような規定もあるがゆえに、被相続人と相続人などの預貯金などの動きは、少なくともこの3年間分(厳しいと6~7年間分)については、金融機関経由で課税庁が一通りチェックしている、と思った方がいいですね。

 

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