法人は任意償却なのに、なぜ個人は強制償却なのか? (減価償却)

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税法上、法人の場合、費用に計上出来る減価償却費を償却限度範囲内であれば、自由に計上額を決められ、また減価償却をしないことも認められます。

しかし個人(事業)では、決められた金額で減価償却をすることが必須となっております。

このため法人は任意償却個人は強制償却、と一般的ないいかたをされています。

同じ建物や同じ機械でも、このように法人と個人とでは、減価償却の扱いが違うという事はたいへん不公平な感じがしますよね。

なぜ個人は強制償却なのか?

 

減価償却は、事業年度又は暦年をまたがって計算していくしくみのため、その計算のための秩序だった経理が必要です。

 

フロー(費用に計上した金額)とストック(未償却残高)の金額の成り立ちがその年(又は事業年度)の計算書とその前年(又は前事業年度)と後の年(又は次事業年度)のものと矛盾なく連続した計算体系となっている事。

 

法人は事業年度ごとに決算書を作成し、株主や課税庁にそれらを報告し、絶えず決算の数字に至る経理の状況を明らかにする義務がある。

このため経理体制が確立されているという前提が備わっています。

 

これに対し、個人では、所得がなかったり少なかったりすると、計算書及び税務申告書を作成し、提出する義務がない場合があり、形としては株主という密接な関係者もいないため、銀行などから借入金があり、計算書提出の要請でもない限り、法人のような必須な経理体制が確立されているという前提がない。(最近では白色申告者でも秩序だった記帳が義務付けられましたが。)

また小規模な個人事業者では経理を担当する人材をことさら備えていない事が多く、任意償却という経理上の選択肢を増やすことはかえって経理事務を煩雑にし、負担が大きくなる結果となります。

 

個人が建物を所有し、それを賃貸するなど事業としての使用時期と、事業としてではない使用時期がある場合、たとえ非事業使用時期だとしても毎年秩序だった経理記録がないと、任意償却ではますます混乱し、数字が追えなくなってしまいます。

これにより将来、建物を売却した時の所得税の金額が算定不能という事になります。

画一的な強制償却の制度ならば、購入代金、工事代金などの基礎データさえあれば、各年分のデータがなくても、フロー(費用に計上した金額又は計上したとみなす金額)とストック(未償却残高)の金額の把握も可能です。

 

このように個人は、経理体制が必ずしも整っていないという前提から、法人のように任意償却とすると、自他ともに混乱が生じる可能性が大きいため、強制償却としている、と考えられます。

 

課税庁側の管理の面でも

法人は登記されているため、法人の住所、代表取締役の住所、氏名を誰でも知ることができる。このため法人の所在が確認できる。

個人の場合は、住民登録の制度があるものの、法人より個々に引っ越し、転居する頻度が高く、所在の確認や所轄税務署間の横断的な管理が難しい場合があると考えられます。(だからこそのマイナンバー制度導入ですが)

 

*ある程度自由に償却できるという任意償却ですが、逆にそこを毎期継続的なやり方(限度額を計上など)でやっているかどうかが、中小の法人の計算書類の注目点だったりしますね。

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