社長の奥様(配偶者)は、みなし役員となる可能性があります

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会社の所有と経営がほぼ一致している同族会社では、オーナー経営者の意見が会社経営を支配することが多いため、税金逃れ、と受け取れるような経理が見受けられる可能性があります。

 

そこで法人税法では、この同族会社に対して、特別にいくつかの規定があります。

 

そのうちの一つが、みなし役員の規定です

 

[1]いろいろな形で、奥様が社員となっている

 

小さな会社では、社長である夫と社員である社長の奥様がいるケースが多くあります。

 

普通の社員と同じように、社長とあまり親密そうに見えないので一見奥様と気が付かない人もいれば、四六時中社長と意見をぶつけ合い、人目もはばからず大々的に会議を繰り広げている奥様もいらっしゃいます。

 

また、表向きおとなしい方でも、実際は社長より、会社の繁栄存亡を左右する実権を握っていると、うわさされる奥様もいらっしゃいます。

 

[2]役員報酬は自分たちで給料を決められるので法人税法上は厳しい

 

 

自分で自分の給料を決められる役員報酬は、自由に上げたり下げたりして、会社の利益を操作できる可能性が高いので、法人税法では、この点厳しく規制しています。

 

役員でない社員の給料は、もちろん自分で自分の給料を決められないので厳しくする必要はありません。

 

[3]役員でなくても、役員とみなされる

 

今期、景気がいいので、社員全員(社員である奥様も含め)に、特別ボーナスを支給するとします。社員のやる気も上がり、会社の経費にもなって、法人税も少なくなりそうです。

 

 

社長の奥様は取締役、監査役などの役員でなく、また、会社の所有権である自社株式も持っていません。

 

しかし、ここで登場するのがみなし役員の規定です。

 

役員でなく株主でもない奥様が、なんと、役員である、とみなされ、奥様の特別ボーナスが全額、法人税法上の費用にはならないことがあります

 

[4]役員とみなされる条件

①会社の持ち株割合が、持ち株数の上位3グループ(グループとは同じ親族など)で合計50%超となるグループに入っている(奥様は社長と夫婦なので、株を持っていなくても同じグループに入ります)

②会社の持ち株割合10%超となるグループに入っている

③夫婦(社長と奥様)の持ち株合計が持ち株割合5%超(奥様がゼロでも社長が5%超なら該当)となっている

④その会社の経営に従事している

 

奥様が上記①から④のすべてに該当すると、役員とみなされ、急にボーナスを支給しても、全額、法人税法上の費用にはなりません。

経営に従事しているか、否かが、一番微妙なところですが。

 

 

 

[5]魔術的な言葉“みなす”

 

グレーは、黒とみなす。

欠席は、不合格とみなす。

ノンアルコールビールで、お酒を飲んだとみなす。

“友達としてなら” はふられたとみなす。

 

思えばこの魔術的な言葉“みなす”は、いたるところに、ありますね。

 

 

 

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