相続税をお金でなく、もので支払う物納とは

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相続税は、すぐお金に換えることができないような土地などの遺産があることに対して課税されるため、相続税をすべて金銭で支払うことが難しい場合があります。

 

納期限をあらかじめ伸ばしてもらう延納制度を利用しても、現金で支払うことが困難な場合に限って、その相続した財産そのもので相続税を支払う物納(ぶつのう)という制度があります。

これは他の税法に見られない相続税独特の制度で、贈与税にも使えません。

[1]物納の要件

  • 延納によっても金銭で納付することが困難な理由があること
  • 物納に充てようとする財産が一定種類の財産で一定順位で充てられること
  • 納期限までに物納申請書と詳しい関係書類を添えて所轄税務署へ提出すること
  • 物納に充てる財産は、国が管理したり、売ったりしやすいものであること

[2]物納の充てることができる財産と優先順位

①国債、地方債

②不動産及び船舶

③社債及び株式並びに証券投資信託又は貸付信託の受益証券

④動産

・物納に申請財産は、相続財産又は相続財産を処分して取得した財産、に限られるため、各納税義務者の固有財産は充てられません。

・外国にある不動産、外国債、外国の株式等は、相続税法上その所在が日本にないため、物納できません。

・相続時精算課税適用財産は物納出来ません。

・特定登録美術品(文化庁が認め、美術館に歓迎される美術品)は、優先的に物納が許可されます。

[3]物納の価格

物納財産の物納時の取引価額は、相続税申告で評価した時の評価額となります。

ただし相続開始後、著しい状況の変化があった場合は改定した取引価額となります。

[4]物納できない土地の例

物納のほとんどが土地ということになりますが、多くの人が”厄介だ”と思われる下記のような土地は、やはり管理処分不適格財産として物納できない事となっております。

抵当権のついた不動産、担保にされている不動産

権利関係の争いのある不動産

境界が不明確な土地

道路に面してない土地で、通路が不明確なところ

借地権のある底地で、契約関係が不明確なもの

がけ地、形状が著しく不整形であるなどで、これらの土地のみでは使用することが困難であるもの

 

*後々良く調べたら土壌汚染などが有り、除去費用が必要になった場合はその費用を申請者に支払ってもらう、など条件付きで物納が許可されることもあります。

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