個人事業でも、人を雇い始めると労働保険に加入しなければならず、労働保険料を納付することとなります。一口に労働保険料といっても、労災保険料、雇用保険料、一般拠出金の3つに分かれます。
誰がどのくらい雇用保険料を払うのか
労災保険料は、雇用者の代わりになって仕事上の災害に対して、労災保険の給付などを行う事を使命としているため、事業主(会社)のみが負担します。
一般拠出金とは石綿(アスベスト)で被害を受けた人々を救済するために2007年から導入され、これも事業主のみが負担します。
雇用保険料は従業員の、会社都合、自己都合含めて失業時のサポートをメインにするしくみとなっているため、基本的には、事業主と給付を受ける従業員が一定の割合で分担して負担します。
2017年4月現在、従業員に給料や賞与を支給するたびに、その支給額から天引きする雇用保険料は、所得税とすこし基準が違い、通勤手当などをふくめた賃金支給額総額の0.3~0.4%です。これに事業主が負担する0.6~0.8%を合計したものが納付する保険料となります。
労働保険料は健康保険などとちがい、その企業全体で計算して、基本的に年一回指定された期日までに納付します。
その金額が40万円以上である、又は労働保険関係の事務を労働保険事務組合に委託している場合(手数料はかかります)には3回に分けて納付することができます。
労働保険料の計算のしくみ
労働保険料の計算(年度更新)は、事業主が基本的に年一回、4月から3月までの一年間をまとめて一単位として計算して、決まった用紙に毎年6月1日から7月10日までに所轄の労働基準監督署または労働局などに申告します。
この保険料の計算と納付の特徴的なところは、今年4月から来年3月までの予想保険料を納付し、それと共に既に今年3月で確定した賃金総額を基に計算して、すでにその期の前払いした分との差額を精算する、ということがセットで行われるという点です。
基本前払いで、後で年一回差額を精算するというシステムです。
*小さな企業では、労働保険料の計算は、従業員が定着していれば、年一回の申告も苦になりませんが、従業員の入れ替わりが激しいと、日ごろから人件費の経理をこまめにしていないと、やはりしんどい作業となりますね。