マンション、一軒家を貸している場合の土地は相続税どうなるか

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相続税では相続が開始した時(亡くなった時)の財産の評価額を基にして税金の計算をしますので、その財産の評価で税額が大きく左右されます。

マンション、アパート、一軒家を貸している場合、家賃収入が見込まれるので、財産価値は高いように思われます。

しかし相続税では基本的に家賃収入などの収益の方の関係は所得税などに任せて、今売ったらいくらで売れるかすぐ買い手が見つかるかいう、時点的な換金性の方に重きを置いて評価します。

最もポイントになるのが、貸しているので、借りている人たちの立場を無下にできないという事です。

借家権、借地借家法など借主の保護は優先されるので、相続開始時点で、売るという選択は現実的では難しく、自由に処分できない物件、またもしどうしても売るためには、借主に退去してもらうために多額の立退料などの支払いが必要ということになり、その分評価は画一的に下がります。

貸している建物の敷地となっている土地を、貸家建付地(かしやたてつけち)といい、評価の算式は次のようになります。

通常の土地の評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)=その土地の評価額

たとえばその土地の借地権割合が0.7、賃貸割合が100%だとした場合(借家権割合は0.3と決まっています)。

1-0.7×0.3×100%=0.79となり、通常の土地の評価額の79%評価となります。

 

またこの時の貸家の評価額は次のようになります。

通常の建物の評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)=その建物の評価額

この場合 1-0.3×100%=0.7となり、通常の建物の評価額の70%評価となります。

ただし、貸すといっても、親族などに無料で貸している場合は、このような評価はできません。

相続税対策にはなりますが

土地の評価はそれ自体、実際の取引価格より8割程度、家屋も建築費用の7割以下になりますので、賃貸物件を購入してさらにこの評価式で減額でき、現預金が減り、またこの購入で借入金があればその分財産評価から差し引けますので、相続税対策として、有効となります。

しかし、相続開始近く(亡くなる間際に)に被相続人の意思によるのかどうか客観的に不明な状態でマンションを購入し、相続税申告期限後ほどなく売却して、相続税評価額と購入価額、相続税評価額と売却価額との差額がともに2億円を超えていた事例では、明らかに相続税の負担を不当に回避するための取引だとして、上記のような相続税評価は認められなかった、といった事例もあります。

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