先代が行った等価交換、立体交換により取得したマンションの売却にあたり、まずその交換契約や、ビルが完成した当時の所得税申告納税状況の確認が必要です。
手元に見つからない場合、税務署へ所定の手続をして申告状況について教えてもらうこともできます。
基本的に現在の土地所有者が、相続、贈与でその土地を引き継いでいたら、その現在の所有者が土地を売った場合、譲渡所得の計算では相続、贈与以前に被相続人または贈与者が土地を取得したときの金額が、相続人又は贈与を受けた人のその計算の取得費となる。
マンションの一部(敷地権付き建物)を譲渡する場合、等価交換により取得した建物の取得費は、もともとの土地の取得価額を基礎として計算し、その交換契約書に記載されている建物の交換取得価格ではない。
建物の取得費は、もともとの土地の取得価額を基礎にして、そこから減価償却費を差し引いた金額となる。
マンションの敷地部分(土地)の取得費もその交換契約の契約書に記載されている交換取得価格でなく、もともと先代が取得したときの金額(=買った金額)となる。
この等価交換の契約書では ”交換” という名目であるが、税法上は売ったのと同じで譲渡所得税が発生するのが本来である。
しかし、基本的にお金が動かない取引のため、その課税を先延ばし(課税の繰り延べ)にしていいですよ、という所得税法の規定がある。
その譲渡所得の申告及び(納税額があれば)納税をしていない場合は、もともと取得した土地の取得費はそのまま将来譲渡したときの計算に引き継がれる。もし譲渡所得の申告及び納税をしている場合、この申告で収入とした金額で建物(場合によっては土地も)を取得したことになるので、その収入とした金額が取得費の基礎となる可能性がある。
単純な理屈として、もともとの土地の値上がり益に対しての所得税課税がどこかのタイミングでなされなければならない。既に相続、贈与前に先代の時に課税されているのか、課税されていなければ将来、譲渡したときにその子孫などが課税負担するということ。
取得費が不明の場合は、売却した値段の5%を譲渡所得税計算上の取得費とすることが出来る。
また、居住用(実際に住んでいた)の土地建物を売却した場合、譲渡所得税の計算上、売却益から3千万円差し引いて税額計算できる優遇規定がある。