マンションを借りて住んでいる場合、マンションを借りてから退去するまでの期間の家賃を支払うのが普通ですよね。
月の途中から住み始めたら、その分の家賃を日割り計算して支払う。
住民税もこれと並行して、都道府県及び市区町村に対して、そこの住民であった期間に対応する税額だけ払うのが最も合理的な考え方です。
しかし、実際はそう単純な考えは通用しません。
1月1日に住んでいた(住民票があった)都道府県及び市区町村に対して、期間の区切りなく、前年中の稼ぎに応じて、全額支払う事となります。
A市に住んでいた人が1月2日に引っ越しして、B市に住所が移ったとしても、その年の6月ころから請求される住民税は1月1日に住んでいたA市に全額支払うことになり、B市には1円も支払いません。
住民税という、住民という言葉やイメージを後盾にした税金にしては、納得いかないと思います。
しかし、あなたが住民税を徴収する側だったらどうでしょう?
一年の内、一人一人の住民の住民票のある期間に応じて課税できますでしょうか?
住民が100人200人程度なら、そのうち引っ越しする人は限られますでしょうから、何とかその異動の状況は追いかけられそうです。
A市の人口が10万人、B市の人口が20万人となるとどうでしょう・・・。
・・・大混乱になってしまいます。
最も最近は、マイナンバー導入やAIの進歩で将来、住民である期間に応じた住民税課税という事は、不可能とは言えなくなりましたが。
結論として、一年の内、一番住民票が動く可能性、引っ越しの可能性が少ない1月1日のみを基準とすることが合理的かつ混乱の少ない課税の方法として編みだされた、といったところでしょう。
*ちなみに1月1日に死亡したら、その人は住民税の対象ではありませんが、1月1日には生存し、1月2日に死亡したら住民税は課税され、相続人がその税金を納付する義務があることになります(相続放棄があれば別ですが)。