昼間仕事している方の10時休憩、15時休憩の話題に出てきそうな、医療費控除の初歩的な誤解
[1]医療費が年間10万円を超えたら、超えた分の金額が戻る?
医療費が10万円を超えると医療費控除、という制度が有効になるのは確かです。
しかし、たとえば年間15万円の医療費がかかった場合(15万円-10万円=)5万円が戻るわけではありません。
所得税の申告によって、医療費の金額がそっくり戻ることは、ありません。
そのようなシンプルな計算であれば、うれしいですが。
所得税の計算のもととなる課税所得を計算する上で、事業所得、給与所得などのその人の年間の所得の合計額から、計算上5万円を引けるということです。
かんたんに算段すれば、5万円に所得税率(5%~45%)をかけた金額が戻る可能性のある金額です。
戻るといういいかたは、間違った表現ではありませんが、戻るというのは、その年分の前払した税金が戻るので、前払いしていなければ、戻らないということ。
前払いとは、その年の給与等から天引きされた源泉徴収税額や、予定納税です。
上記の例では、(5万円×5%(課税所得のよって変わります)=)2,500円の税金が戻る可能性があった場合、源泉徴収税額などが2,500円以上であれば、2,500円戻りますが、2,000円しか源泉徴収税額などがなければ、2,000円しか戻りません。
それ以上戻るという事は、もはや“戻る”のでなく“発生する、補助金が出る”という表現になってしまいます。
(実際には、ほかの計算要素や復興税も加わりますのでこのような単純な計算ではありません。)
[2]医療費が年間10万円を超えなければ、医療費控除は受けられない?
医療費が10万円を超えなくてもその年の合計所得(収入ではありません)が200万円未満であれば、医療費控除は受けられます。
さらに平成29年分からは、セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)の開始により、予防接種、健康診断などをやっている人が、自分が薬局で買う特定の薬代金も合計12,000円以上あれば医療費控除の対象となることとなりました。
ただし、セルフメディケーション税制と従来の医療費控除とはいずれか選択適用となり、セルフメディケーション税制の場合、医療費控除の上限が88,000円までとなります。
*3月の申告で苦労した割に、還付額が少額で落胆しがちですが、6月以降納付する又は徴収される住民税にも医療費控除は、一応、効いていますよ。