相続税は、相続開始があったことを知った日の翌日から10月以内に、税務署又は金融機関で金銭により全額一括納付することが原則です。
しかし相続税についてはいろいろな種類の財産に対して課税されるため、現金で一時に納付することが困難であることが予想されます。
そこで相続税の納付期限をあらかじめ延長できる延納(えんのう)という制度があります。
しっかり支払利息が付きますが、もちろん無断で遅れた場合の延滞税より利率は断然低く抑えられております。
[1]延納するためには、条件がいくつかあります。
延納の条件には次のようなものがあります。
- 納付すべき相続税額が10万円を超えている。
- 納期限までに金銭で一時納付することが困難な理由がある。
- 所轄税務署長に延納税額分の担保を提供すること。ただし延納税額が100万円以下で、かつ、延納期間が3年以下である場合は、必要ありません。
- 所轄税務署長に申請期限までに延納申請書を提出すること。
*担保は、国債、地方債、社債、株式、土地、建物などで、保証人の保証でも可能です。
[2]税務署が許可するかどうか調べる
申請書の提出があった場合、所轄税務署の調査を経て、原則的に申請期限の翌日から3月以内に延納を許可されるか、却下されるか報告されます。
[3]延納できる期間と利子税
延納期間は、相続税額の計算のもととなった財産のうち、不動産等(土地、建物、借地権、事業用減価償却資産、特定同族会社の株式など)の割合がどれくらいかにより、1年から20年まで認められます(特定森林計画立木などが有る場合には40年まで)
不動産の割合が多いと、換金するのが困難ということで優遇されています。
*延納期間と支払利率(森林計画立木がある場合を除く。利率は平成29年4月現在ですが、毎年変動します。)
①不動産等の割合が3/4以上のケース
不動産等に係る相続税額 最長20年 年利率0.8%
不動産等以外に係る相続税額 最長10年 年利率1.2%
②不動産等の割合が1/2以上のケース
不動産等に係る相続税額 最長15年 年利率0.8%
不動産等以外に係る相続税額 最長10年 年利率1.2%
③不動産等の割合が1/2未満のケース
最長5年 年利率1.3%
*利率に関しては、現在のところ銀行と比べて低いようですが、総合的に考えて銀行などら借りて納税してしまった方がベターな場合があります。