相続があった場合、相続財産を、兄弟はもらえるのか?

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相続財産は亡くなった人の配偶者や子が取得し、又借金があればこれも配偶者や子が承継するのが普通です。

相続財産を、被相続人の兄弟や姉妹がもらえるのかどうかは、遺言書の有無や死亡時の戸籍上の人間関係などによって変わってきます。

1 遺言がある場合

被相続人に配偶者や子供がいても、若いとき援助してくれた、看護などでお世話になった等の理由で、被相続人が財産を自分の兄弟姉妹にあげたい、という意思がある場合があります。

この場合、適正な遺言書により兄弟姉妹に遺産を相続させたい旨の記載が有れば、原則的には、その通り兄弟姉妹が相続財産を遺贈(遺言により遺産を譲ること)により取得することが可能となります。

 

ただし、例えば遺産全部が現金のみ1億円であり、すべて兄弟の一人にあげる、とする遺言があったとします。

この場合、被相続人に配偶者と子が一人いた場合は、配偶者と子がそれぞれ2,500万円づつは、最低限もらえる権利(遺留分の権利)があります。

この取り分(この例えの場合1/4づつ)は、相続開始時の戸籍上の人間関係によって決まっており、その権利を主張する、しないは自由です。

 

また、逆に、例えば遺言で配偶者、子、親に財産全部を相続させる旨の遺言があった場合には、兄弟姉妹には、最低限もらえる権利(遺留分の権利)というものは、一切ありません。

 

2 遺言がない場合

 

遺言がない場合には、相続開始時の戸籍上の人間関係により相続分が民法により定められており、これにより兄弟姉妹の取得割合がある場合があります。

 

被相続人に子(子の代襲相続人となる孫を含む)がいる場合・・・兄弟姉妹に法定相続分はありません。

被相続人に親か祖父母がいる場合・・・兄弟姉妹に法定相続分はありません。

被相続人に子、親、祖父母がなく、配偶者がいる場合・・・兄弟姉妹の法定相続分は1/4

被相続人に子、親、祖父母、配偶者がいない場合・・・兄弟姉妹の法定相続分は全部

 

(注 兄弟姉妹が複数いれば、均等に分けます)

 

3 相続放棄などがあった場合

 

被相続人に子や親がいても、その人たちが相続放棄したり、相続欠格、相続排除などが有った場合には、兄弟姉妹が相続人となり、遺産を取得できる場合があります。

 

4 遺産分割協議

 

兄弟姉妹が相続人となった場合には、遺産の具体的な分割について遺産分割協議に参加することができます。この時相続人全員により法定相続分とは異なった分割案を定めることができます。

 

5 借金も背負う

 

相続人となる場合には、財産を取得できる反面、借金などの債務も引き継がなければならないため、注意が必要です。

 

6 兄弟姉妹の相続税はちょっと高くなる

 

兄弟姉妹が相続した場合の相続税は、普通より20%増しになります。

これは、兄弟姉妹は、通常、相続財産を取得する人とならない(偶然性がある)、という相続税法の考えからです。

 

 

*兄弟姉妹に相続財産を取得させる方法には、この他にも近年注目されている民事信託という方法も考えられます。

 

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