領収書でなく、レジのレシートの方が経理的に有効

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〔1〕少額でもレジのレシートより領収書を書いてもらう習慣

少額の事業経費支払について量販店、スーパー、コンビニエンスストアなど支払先に対して、一般的に発行されるレジシートの代わりに、領収書を書いてもらう習慣がまだあるようです。

領収書の宛名の欄に自社名、屋号などを支払先の人に書いてもらい事業の経費として有効とするためです。

例えば印紙の貼付が必要となる一回5万円以上の紙ベースの領収書であれば、だれが、又はどこの会社が支払ったかを発行元に記入してもらい、経費としての証拠資料として明らかな証しとしようとすることは堅実な習慣でしょう。

なかには宛名を書いてもらう事によってはじめて経費として認められる、と考えておられる方がいらっしゃいます。

さらには宛名を書いてもらう事が経費として必要にして十分な要件であると錯覚していらっしゃる方もいるようです。これさえしておけば経費になると。

支払いのたびに、支払う側と代金受領側の人にとって手間となりますが、商取引上暗に常識的セレモニーとなっているようです。

〔2〕2000年あたりからレジシート(レシート)は充実

昭和から平成に入って平成一桁、又は2000年くらいまでは、そのような習慣が一般的だったかもしれません。小さな小売、サービス業では、品名が印字されるレジシート発行機能など導入していなく、レジシートの記載も金額だけの簡単なもので、経費にする証しとして店員に細かく要求して手書きで領収書をかいてもらうことが流行していたようです。

また現在は量販店、コンビニなどでさまざまなものを購入、また支払ができ、合計金額だけの記載では何を買ったのか、何のために支払ったのか全く不明ですが、それまでは、特定のカテゴリーのものを扱う店もまだよく見られ、店名、屋号からだけでも容易に品目、数量の想像がついた傾向があったと考えます。

単一店舗での多種多様な物品サービスの販売、ポスレジの普及、物品サービスの流れと売買取引が即時明瞭にレジシートにピンポイントで反映されることが小事業者でも浸透している、それ以後の時代。少額の経費の経理においては、レジシート(レシート)と領収書の選択では、領収書でもらう事はむしろマイナスではないでしょうか

加えて令和に入り、消費税の区分記載を細かく求められ、レジシートの代わりの合計額だけの領収書では対応しきれないのでは。

〔3〕手書きの領収書とはそもそも

レジシートでは何を買ったのか電子管理プロセスを介して正確、詳細に印字されるのにたいして、領収書では何も自動で書かれない場合が多い。

“ただし、品代として”

とだけ記載がある場合、何を買ったのか、事業性があるのかないのか伝えていますでしょうか。

店員さんに口頭で伝えて、宛名を書いてもらう事は重要でしょうか?

宛名を書いてもらうときに、現在有効な身分証明書、社員証、マイナンバーカードのチェックなしに書いてもらえます。宛名を書く側は、宛名が正しいかどうか支払者の本人確認しない、また確認する義務もない。

また手書きで宛名を記入する人の筆跡が代金受領側の人のものである証拠はなく、宛名が空欄の領収書を道端でひろって、経費にしようとする意図で人に書いてもらっても外見上おかしく見えません。

さらには事業の経費として使うのか、私用として使うのか判定してから、または事業の用に供する旨の宣誓書を書いてもらってから店員さんが宛名を書く義務もありません。店員さんはただ言われたままに宛名を書いているだけです。

少額の経費支払においては、宛名のあるなしが最優先でなく、事業と関係ある支払かどうか、すなわち何を買ったか、何のために支払ったかの内容が優先で、実物のレジシート、領収書を手許に保管していることで支払者であることはおよそ証明されていると思われます。(実物を処分し、電子保存だけで事足りるには、一般的になるにはまだ時間がかかりそうです。)

〔4〕盲点を逆手に悪用

経費になるかどうか、レジシートに載っている管理システムから自動で印字される詳細な品目名、数量など信頼できる重要な情報をもらわず、宛名記載にこだわり領収書を請求するのは本末転倒です。

せっかく販売側の管理システムにのって詳細に印字される証拠となる情報を無駄にするのです。手書きで詳細を書く、書いてもらう、または別途に納品書等明細がある場合はそれでも問題ないですが。

少額でも領収書を選択しようとする方の多くは、それまでの経理の常識、流行から身に着けた、素直で生真面目な心構えのゆえと思われます。

しかし、またこれを逆手にとり、何を買ったかわからないからこそ、合計額だけの領収書でもらうことを選んでいる方、またそう指南する経理アドバイザーもいるようです。事業に関係ない私用のものも購入している、或いはサービスを受けている、あるいは100%私用なのだが、宛名を事業者名にして書いてもらうことにより、そのことをスムーズにカムフラージュでき、経費に盛り込もうとする考えです。

〔5〕さいごに

5万円未満あるいは3万円未満の少額の支払いにおいて、宛名を書いてもらうことを優先するより、レジシートの表面の余白、又は裏面に何の用途なのか、食事代であればだれと食事をしたか、得意先との会食なのか、事業に関係あることを第三者が想像できるような一言、二言をレジシートを受けとった本人(ひとり事業者でないならば、簡単な本人サインも要)が書きこむことの方が優先、重要と考えます。

*そのちょっと書くことは、習慣になるまで、けっこう面倒ですが。

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