付加価値という言葉の一般的な意味としては、売り、セールスポイント、オリジナリティ、ブランディング、独自性などという意味で、よく会社の広告などで使われますが、もともとの経営分析でいうところの付加価値について確認してみました。
[1]付加価値とは
付加価値とは、企業が新たに生み出す経済的な価値といえます。
100円の材料を加工して300円で売る。この時の300-100=200円が100円に付け加えられた価値、すなわち付加価値です。
[2]付加価値には大きく分けて二通りの計算方法がある
付加価値の具体的な計算方法は、統計機関や学説により少しづつ違いがありますが、大別して、売上高から外部に直接支払った価値を差し引いて計算する方法と、決算書上の利益などに特定の科目を加算して算出する積み上げ法があります。
実務的には、控除法の方が広く使われているかと思います。
(1)控除法
売上-材料費-外注費-運賃-部品費など=付加価値額
(2)積上法
経常利益+減価償却費+人件費+賃借料+地代家賃+金融費用(支払利息)+租税公課=付加価値額
[3]卸売、小売業は売上総利益とほぼ同じ
卸売、小売業の付加価値額は、売上から外部購入費用である製品、商品仕入原価を差し引いたものが付加価値となりますので、売上総利益とほぼ同じ数字になります。
[4]製造業はすこし複雑
製造業の場合には、売上から材料費、外注費、運搬費などの外部購入費用を差し引くことにより計算します。工場の人件費は差し引かないのが特徴です。
減価償却費については、もともと外部から購入した費用ですが、ある程度企業が自由に計上額を決められる点があり、またリースの利用と選択できる場合があるので、差し引くかどうかは、考え方により異なります。
[5]付加価値からの議論
付加価値は、加工高と呼ばれることもあり、企業の生産活動の成果であり、収益性の分析に先立ち、またお互いにリンクして企業の能力測定に必要なものです。
付加価値を高め、それをどのように分配しているか、付加価値の内容はどんな割合になっているかが経営の課題です。
分配先、内容というのは、人件費、支払利息、地代家賃、賃借料、租税公課、減価償却費、配当金などです。
*付加価値の高い企業・・・いい響きです。