相続税の申告期限は、相続の開始があったこと(亡くなったこと)を知った日の翌日から10か月以内ですが、相続税の申告の準備が始まる位のタイミングで、亡くなった人の所得税の申告期限がせまって来ます。
[1]準確定申告とは
準確定申告とは、本来は本人がする確定申告を、本人が死亡してしまったので代わって相続人が行う、という意味で準ずるの“準”のついた確定申告で、一般的には所得税についての手続です(消費税等についてもいいます)。
[2]準確定申告の申告期限
準確定申告の申告期限は、相続の開始があったこと(亡くなったこと)を知った日の翌日から4か月以内で、申告書の提出先は、基本的に死亡した者の死亡当時の住所地を所轄する税務署です。
準確定申告は、死亡した人の分すべてが提出しなければならないのではなく、提出義務のあるケースは、確定申告の要件と同じです。
また提出義務はないが、源泉徴収された税額、予定納税がある場合などは、還付申告により還付を受けられる場合があります。(期限は死亡した年の翌年1月1日から5年間)
[3]準確定申告の特徴
通常の確定申告とくらべて準確定申告には、次のような特徴があります。
- 相続人全員の同意が必要で、基本的に確定申告と一緒に出す用紙(死亡した者の〇年分の所得税及び復興所得税の確定申告付表)に相続人全員の住所、氏名、押印、マイナンバーの記載が必要。
- 医療費について、2つの区分に分かれます。
死亡した者が支払った分→準確定申告における医療費控除の対象
死亡後に支払った分→支払った相続人が同一生計の場合は、その相続人の医療費控除の対象
- 扶養控除、配偶者控除の基準は、死亡日現在の状況により判定
- 社会保険料控除、生命保険料控除、地震保険料控除の対象となる支払保険料は、死亡した者が支払った分まで
- 準確定申告の税金納付期限も申告期限と同じであり、相続人個々の相続分が未定の場合は、法定相続分によってあん分した割合により納付します。
[4]その他
・亡くなった人が個人事業者の場合、消費税等の準確定申告も必要な場合があります。
・亡くなった人が青色申告適用者の場合、その効力は自動的に承継されないので、原則3月15日まで、1月16日以後業務開始の場合は準確定申告の提出期限までに、その事業承継者は青色申告承認申請をしなければならない(亡くなった方が白色申告であれば、業務開始から2か月以内)。