小さい会社の多くは、株式譲渡制限会社という選択をし、その旨が会社の謄本に明示されますが、株式譲渡制限会社とは何なのか確認してみました。
[1]株式譲渡制限会社とは?
株式譲渡制限会社とは、上場会社のように、株式の売買などを自由にすることができずに、その会社の取締役会又は株主総会の承認がないと株式の売買などができない会社をいいます。
株式譲渡制限会社を非公開会社と呼び、それ以外の株式会社を、公開会社と呼びます。
[2]なぜ株式の譲渡を制限するのか?
株式の所有者は株主であり、株主の権利の主なものには、配当を受ける権利、株主総会の決議に参加する権利、会社が解散清算したときに分配を受ける権利、の3つがあります。
小さな会社が株式譲渡制限会社を選択する理由はこの株主の権利を制限するものなどであり、次のようなものがあります。
①知らない人に会社の方針、経営に口出ししてほしくない
基本的に一株につき、一つの議決権があるので、知らない第三者の意見が経営に影響してくるのを防ぐためです。
②知らない人に会社を乗っ取られたくない
上記①の延長ですが、知らない間に第三者が会社経営を実質支配されてしまうことを防ぐためです。
また会社の事業承継(=株の相続問題)を円滑にするためです。
③株式譲渡制限会社でないと、厳しめの規定があり、登記費用などコストもかかるので避けたい
・株式譲渡制限会社は取締役会を置く必要がなく、取締役は1名のみでも認められ、監査役も置く必要はありません。公開会社では最低限、取締役は3名、監査役は1名必要となります。
・役員の任期をそれぞれ10年まで延長できます。公開会社では取締役2年まで、監査役4年までとなります。
・株主総会の招集通知を通常、株主総会の2週間前までにしなければなりませんが、これを株式譲渡制限会社は1週間前まで短縮できます。
・決算の計算書類についての注記を公開会社に比べて、簡単なものにできます。
④出資を増やして会社を大きくする方針がない
創業時は、親族、社員などのかぎられた範囲の株主だけで運営する方針なので、会社規模を大きくするため第三者の出資を期待していないためです。
*会社が絶好調で上場会社を目指すなら、いずれ公開会社とならなければなりません。