相続税がかかるか、かからないかは、2つのポイントをしっかりおさえる必要があります。
1つ目は、法定相続人が何人いるかです。
2つ目は、亡くなった人の財産と債務がどれくらいあるのかです。
[1]相続税の計算においての基礎控除額(=いわゆる免税点)は、次の算式であらわされます
3,000万円+600万円×法定相続人の数
財産から債務を引いた金額が上記算式の金額以下であれば、相続税はかからない、という事になります。
法定相続人とは、被相続人(亡くなった人)の相続人で相続を放棄した人も含めます。
(夫が)死亡時に奥さんと子供が3人いて、例えば子供の内一人が何らかの理由で相続放棄したとした場合、相続人は奥さんと子供2人で合計3人ですが、法定相続人は4人となります。
法定相続人を確定するためには、原則、被相続人が生まれてから死亡するまでの戸籍(又は除籍)謄本と相続人の戸籍謄本で、戸籍上の関係をくまなくチェックする必要があります。
前妻との間に子供がいる場合、養子がいる場合、認知した子がいる場合には、たとえ死亡当時、被相続人やご家族と疎遠になっていても、その分法定相続人が増えることになります。
[2]相続税の生前対策として、養子の数を増やすという方法があり、養子の数が増えることにより、上記算式により相続税の節税となったり、かからなくなったりします
現在、節税のために意図的に養子の数を増やす、という事を防止するため、相続税法上のこの基礎控除額の計算における養子の数は次のような制限があります。
実子がいる場合・・・養子の数はひとりまで
実子がいない場合・・・養子の数は2人まで
さらに課税庁の判断で、相続税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合には、相続税法上、養子の数に含める事が出来ません。
[3]実子とみなされる養子など
次のそれぞれの場合は、相続税法上は実子とみなされます。
被相続人と特別養子縁組により養子となった者
被相続人の配偶者の実子で被相続人の養子となった者など
実子、養子又はその直系卑属(子、孫、ひ孫)が相続開始前に死亡し、又は相続権を失ったため法定相続人となったその者の直系卑属(=代襲相続人)
[4]法定相続人の人数が増えることにより、以下の節税効果もあります
生命保険金の非課税金額枠、退職手当金の非課税金額枠が増える。
相続税の総額の算式構造上、税額が少なくなることがある。
*養子縁組は、相続税の節税だけ考えればよいわけでなく、養子となった人に相続権も与えることになりますので、相続の際、相続人間でトラブルに発展するケースも少なくないです(2017年に節税に絡む孫養子の縁組に関する最高裁判例もあります)。