源泉所得税を給料から徴収し、国に納付する時期

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給与等を従業員に支払う会社又は個人事業者は、その支払う給与等の金額に応じて、あらかじめ一定の所得税を徴収し、その徴収した所得税を原則的に、その支払いの翌月10日までに国に納付しなければなりません。

給与等の源泉徴収制度です。

 

一般的に、毎月の給料は、対象期間と支給日が決まっており、

①21日から20日までの計算期間の分を25日に支給。

②1日から31日までの計算期間の分を10日に支給。

などとしている場合が多いと思います。

 

給与の支払者である会社等は、このとき従業員から所得税を徴収する義務と、それをそっくり国に納付する義務の二つの義務があります。

 

月末締めの場合、いつ徴収して、いつ納付するのか?

 

上記②の1月分の給料を2月10日に支給する場合

以下の二つの内どちらなのかちょっと迷います。

A. 1月分の給料なので、1月に徴収して2月10日までに納付する。

B. 2月10日支給なので、2月に徴収して3月10日までに納付する。

 

源泉所得税の源泉というネーミングは、一見、なにを言っているのかわかりません、抽象的で詩的な感じがしますよね。

 

山の上の方の水源から水が湧いて、はじめ上流ではチョロチョロとしていた流れが、森を抜けて、降りてくるにつれて小川となり、果ては大きな川となり海に流れていく。

水が湧いで出たとき(実際の支給があった時)、すかさず両手ですくってしまう(天引する)という行為を、やんわりとした”源泉”という言葉に凝縮しています。

水が湧いていない(実際の支給がない)段階であれば、水をすくおうにも、すくえません(天引しない)

水が湧く予定(支給額が確定)があっても、実際に湧いてこなければ、すくう機会はありません。

 

1月分の給料が2月10日に支給される場合、2月10日に初めて水が湧くので、水をすくえる(徴収する)のは、2月10日です。

2月中にすくった水は、翌月の3月10日までに、プレゼント(納付)すればOKです。

1月分の給料が2月末になっても3月になっても支給されない場合(水は湧いていない)は、徴収する義務も納付する義務もありません。

 

・一部未払の給与があった場合は、未払分からは徴収する義務はありません。

 

・給与をあらかじめ分割払いにする場合、確定した総支給額に対する源泉徴収税額を各回の支給額の割合で振り分けて徴収し、その都度翌月10日までに納付することになります。

 

法人役員賞与の場合の特例

 

ただし、まだ水は湧いていないが、収拾がつかないため、湧いたとみなす、という例外の規定もあります。

法人役員に対する賞与は、支給確定日から1年経過しても支払がない場合、一年経過した日に支払いがあったとみなされ、源泉徴収する義務があります。

 

*地方税では、国税の源泉(所得税)とほぼ同じ意味合いで特別徴収という言葉を使います。

特別徴収というと、なんだか事務的で厳めしい感じがします。源泉という言葉の方が、内容はともかく、言い方としてはソフトですね。

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