教科書と違った切り口から、適格請求書、インボイス制度、そもそも消費税とは(メモランダム)

 
[1] 消費税(=消費税及び地方消費税)とは、事業者にとって預り金であり、売り上げの一部ではない。
仕入れ、経費などで支払っている方の消費税は、それとは反対で預り金をあらかじめ返還しているようなものである。

この論理が骨格となります。

”消費税という名前を付けただけで当事者同士にとっては、取引金額の一部でしょう。だから売り上げといっしょだよ” という意見に対しては、そうゆう論理も成り立つことは否めませんが、

良くも悪くも 、まずこの論理が骨格となります 。


[2] 事業をしている個人または法人が、その事業の経理上、自分(又は自社)が預かった消費税(売上、その他収入に係る消費税)から、自分(又は自社)が支払った消費税(仕入、経費に掛かる消費税)を差し引いた残り(=差額)の消費税を税務署に支払う

 この単純な理屈から、差し引ききれない場合は、 原則的には、 所定の手続を経て税務署から差額を返してもらえる。


[3] インボイス制度は、その預り金として意識させることの明確化であり、”預かったものは返す” の徹底アプローチである。

インボイス”という言葉は、適格請求書制度という呼び方より、語感をソフトにして多くの人に受け入れられそうな感じ、また、他国では既にやってるよ、というグローバル感から、抵抗をすこしでも和らげようという発想からつけた呼び方の提唱、と思われます。




[4] 適格請求書は、自分が発行する請求書に、税務署から与えられた消費税制度上の番号(=適格請求書登録番号)を記載し、さらに消費税明細を明確に記載、保存しなければならない請求書です


消費者の立場、給与所得者の方はあまり関係ありませんが、事業者であればすべての人又は法人が関係します。 (もっとも 消費者こそ、まさに消費税を負担していますが。)




[5] 消費税制度上の適格請求書登録番号を記載した請求書に係る、支払った消費税でないと自分(又は自社)が預かった消費税から、その支払った消費税が差し引けなくなるので、預かった消費税をそっくり税務署へ支払わなくてはならなくなる。




[6] 自分(又は自社)が預かった消費税から、自分(又は自社)が支払った消費税の差額の消費税を税務署に支払わなくても済んでいた事業者(消費税について無頓着でよかった事業者)は、売り上げ先(得意先)事業者から見ると、支払先となるので、適格請求書登録番号を記載した請求書の発行事業者でないと、 売り上げ先 (得意先) が損してしまう。


[7] 支払先が適格請求書を発行しない事業者(=免税事業者)だと、消費税の計算で手間がかかる(経過措置など細かい計算が出てくる)し、税負担も増えるので、売上の相手先、得意先からは、その支払先となる事業者に対し請求書発行事業者となる選択を望まれています。




[8] 適格請求書の登録番号を税務署から与えてもらうのは、免税事業者にとっても任意の選択で、どちらでも自由ですが、与えてもらう以上 強制的に消費税の課税事業者となります。

このような間接的な作用から、 はからずも、自ら消費税の課税事業者にならなければならないという仕組みなので、今まで税務署に消費税を計算して申告することも、消費税を納税することもなかった消費税の免税事業者にとって、寝耳に水の問題となります。



逆に言うといままで年間売上が1千万以下の小規模な事業者に対して、消費税の制度は、優しく気遣ってくれて、大目に見てくれていた。それが制度導入から30年以上のソフトランディングを経て本来の扱いとされた、というとらえ方もあります。



令和5年10月から6年間かけて徐々に厳しくなるので、切迫感はまだうすいともいえます。

また、小規模事業者がインボイス制度を考えるうえで、簡易課税制度の知識も不可欠です。  

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