葬式費用は誰がだすのか(相続関係)

葬式費用は、相続税法では通常相続開始時の被相続人(亡くなった人)の債務でないにもかかわらず、相続財産から差し引いて正味財産計算ができる、という独特な項目です。それほど相続と密接な関係にあるという事ですね。

葬式費用は、亡くなった本人が生きている間に自分のお葬式について、本人の財産から負担する、と何らかの契約で明らかに決まっている場合を除き、誰が負担すると決まっているものではありません。

相続財産から負担する。

喪主が負担する。

相続人が共同して負担する。

宗教宗派、地域の慣習から決められた者が負担する。

などが考えられます。

 

一般的には、深い悲しみや動揺の中、親、配偶者、子、兄弟らの遺族でその場、その場で言葉を交わしながら、ごく自然な流れで手順ややり方を決め、その後費用を負担することとなると思いますが、中にはその費用負担をめぐってトラブルとなり、裁判に及びケースもあるようです。

 

いくつかの判例では、葬式費用の負担者は一般的には喪主であるが、表向きの喪主という立場に関わらず、また、相続人であるかどうかにかかわらず、葬儀業者、葬儀関連で生じた費用、心づけなどを実質的に手配し、費用を交渉し、手続を依頼した実質的な葬儀の主催者が負担すべきもの、とされています。

また香典の収入について、この流れで実質的な葬儀の主催者に帰属するという事になります。

 

葬儀費用といっても、その後の初七日法要、四十九日法要、香典返し、納骨、墓石、墓地、仏具の費用なども関連し、これらの進め方、費用負担について、相続財産債務と合わせて考え、遺族間、相続人間の意思の疎通、合意がやはり必要となります。

 

親しい人が亡くなって大きなショックを受けながら、短い間に色々なことを決めていかなければならないというのは、経験がある方はわかると思いますが、大変厳しいことですね。