代理人が必要な未成年者の相続人(相続関係 遺産分割協議書)

遺産分割協議には原則として相続人全員の参加と、遺産分割協議書には相続人全員の署名と実印による押印が必要です。

相続人の中には未成年者も当然含まれますが、未成年者は原則的に法律行為を行えないため、未成年者の代理人が未成年者の代わりに遺産分割協議の内容に承認し、署名押印することになります。

未成年者の代理といえば、通常は親であり、親権者が代理人になります。

親権者がいない場合又は子の財産権を有しない場合は、家庭裁判所が認めた未成年後見人が代理人となります。このように法律により自動的になる代理人を法定代理人といいます。

親Aと子Bがともに相続人であるとき、子Bの親Aは子Bの代理人となれません。実際は仲良く円満に遺産分割できたとしても、客観的には遺産の取り合いになる関係、個人的に利害が対立する構造にあるからです。

また兄弟姉妹の関係にある子Cと子Dが相続人であるとき、二人の親Eは同時に二人の代理人になれません。

これも遺産の取り合いになる関係、個人的に利害が対立する構造にある関係にある二人の代理人を一人で同時にできないからです。

親E自身が相続人でなければ、子Cと子Dどちらか一人の代理人にはなれます。

 

このような場合には、親権者や利害関係人が、その未成年者の住所を所轄する家庭裁判所に申し立て、第三者を特別代理人として選任して、未成年者の代理人として遺産分割協議に参加することになります。

特別代理人となる人は、本人に不利になるような利害関係がなければ、特に細かい条件はありません。

 

しかし特別代理人を選任する場合には、結局、家庭裁判所に遺産分割協議書の案を提出する必要があり、本人の法定相続分を下回る分割案であるなど、その本人に不利な内容でないことがチェックされ、内容によっては、選任を許可されません。

 

*数年前、当時60歳くらいの方が、幼いころ親を亡くされ、親戚が代理人となって、勝手に不利に相続が進み、地方にある親の土地を奪われたようなので、何とかしたいというご相談があったことがありました。

が、相続問題の時効は一応20年のところ、40年以上も前のことで、具体的な資料も土地の所在も確認できず、そのご親戚も亡くなっているので、未だに何ともなりませんが、確かに戦後の混乱期などはこのような不当な結果につながる事が多かったのかもしれません。