所得税の平均課税の制度、かんたんにいうと

個人で仕事をしている場合、所得が大きい年には、所得税もググっと割高になります。

”個人又はそのご家族を含めた基本的な生活に必要な予算は、ある程度あればとりあえずは十分でしょう”という事で高額な所得の方に対しては税負担を多めにさせてもらう事は、やむを得ないところとなっております。

しかし、年ごとに税額を計算する以上、不公平が生じることあり、その調整の一つに平均課税の制度があります。

[1]税金計算の仕組み

現在、所得税(国税)の法律では、課税所得が100万円の場合、税率は5%、5千万の場合約35%となり、年間の課税所得が多い年ほど税率も高い税率で計算されます。(超過累進税率)

所得税とセットで芋づる式に計算される住民税(都道府県と市町村)の法律(所得割)では、課税所得が100万円でも5千万でも税率は、(自治体により例外はありますが)10%と一定です。(単一税率)

[2]所得が不安定な仕事

所得税では収入が年ごとに変動する仕事(漁獲又はのりの採取、一定の養殖、著作、作曲など)や臨時的な収入(不動産等の権利金、プロ野球選手の契約金など)がある場合、昨年及び一昨年と比べて今年、所得が急に増加するとその年だけ所得金額の増加と、それに連動した税率の増加で、大きな納税負担となります。


3年間の所得の合計が全く同じであっても、毎年平均的な所得の合計である場合と、三年目だけ飛び切り大きな所得である場合とでは、税額が大きく違ってきます。

[3]平均課税の考え

平均課税の規定は、上記のような所得に限っては、3年間のその個人の所得、税負担、税率を比べながら、今年急に増加した場合にかぎり、税率を割引(今年の税率を本来の計算式の税率より低く設定)してあげようという趣旨のものです。

その年ごとに儲けに波がある特定の仕事(又は臨時収入)に限った税率の特別サービス規定といえます。

[4]住民税への連動は、なし

現行の住民税では所得税のようにそもそも税率の変動がないため、税率をサービスしてあげようという法律を作る前提がありません。
このため住民税では税率の特別サービス規定はありません。

現在のところ、個人でコツコツまじめにやっていても、大きな事故や災害以外のところで、自分ではどうにもならない天候や海洋の微妙な環境、個々の著作物の人気不人気、出版やリリースのタイミングで、年ごとに儲けは大いに影響を受けやすい、といった過去の統計上明らかであり、想像にも難くない特定の仕事と一定の臨時収入に限定しています。

*******個人であれが、どのような仕事でも結果としてその年ごとに儲けに波があれば、特定の仕事に限らなくても、この規定を受けられてもいいような気がします。

しかしあくまで偶発的な状況に対しての規定であり、もし広く認めてしまうと、前もって都合よく利用しようとする方々が多く出そうです。