電子契約、電子文書に印紙税はかからない・・・今のところ

 

 

電子契約、電子文書、電子メールで送られたPDFファイルなどには印紙税がかかりません。

内容は紙ベースと同じなのに、なぜなのか?

いささか拍子抜けする感じがしますよね。

少し、整理してみました。

 

[1]そもそも印紙税はなぜ課税されるのか?

 

印紙税は、文書の作成により、利益を得ることが期待できるから課税されます。

 

取引の事実関係を書面で作成することは、取引のお互いの法律的な関係が明確になります。

 

その法的関係が明確になったということ自体が、経済的な利益になると想定します。

その利益から、印紙代分の税金を支払う力が見込まれるため課税されます。

 

 

 

[2]なぜ電子文書に印紙税がかからないか?

 

理由その1 電子文書は文書ではないから、かからない

 

印紙税法では、文書に対して課税するものであり、この文書とは、紙、プラスチック、木のきれっぱし、ベニヤ板、金属板など、手にとってさわったり、見たり、読んだりできるものです。

 

電子文書は、電子データ(0と1の羅列)それ自体であり、手にとってさわったり、見たり、読んだりできないので、文書ではありません。

 

また電子文書をプリントして、紙に写したものは、コピーしたものと同じようにとらえ、原本ではありませんので課税文書となりません。(ファックスされたものも同様です)

 

ただし、そのプリントした紙面に当事者の双方または相手方が署名するとか、当事者間の証明の記載があるものなどは課税文書となる可能性があります。

 

理由その2 法律の想定外だから、かからない

 

日本では明治時代にできた印紙税法ですが、昭和42年の全文改正時点では、現在のような電子契約、電子データの普及という概念を想定していません。一般的には、まだコンピュータはもちろん、コピー機、ファックスすら、オフィスにない時代です。

 

印紙税法の、紙面に貼り付け、消印するという印紙税の象徴的なプロセスに溶け込めないのも当然です。

 

現行の印紙税法を、拡大解釈したり、特例を設けたりするのには、ちょっと無理があります。

 

 

理由その3 課税するのが現実的に難しいから、かからない

 

電子データ、電子文書は、それ自体、手に取って見れない、さわれない、改ざんが容易。

現在のところ、取り扱いが技術的に難しく、課税しようにも簡単でないため、かかりません。

 

 

[3]今後の動向

 

平成10年より、電子帳簿保存法などの法整備も進んできました。

電子取引は、サイバー攻撃による情報漏洩など問題もありますが、日々、進化しているからこそ、紙ベースにとって代わり、今後も普及することになります。

 

平成27年の消費税のインターネット取引に関する改正もあったように、印紙税法もこの電子取引時代に合わせた改正が・・・あってもおかしくないですよね。

 

 

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