年末調整を簡単にいうと・・・と、朝三暮四(源泉徴収)

勤めている人にとって、年末調整というと、年末に勤め先から天引きされていた税金が戻って、思いがけないお小遣いがいただけるというイメージがあり、ちょっと嬉しい行事と軽く受け取っている方も多いと思います。

人を雇っている事業者が、給料や賞与を支払うときにその支給額からあらかじめ源泉徴収税額表などを参照して、その人の所得税と復興特別所得税を天引きして、原則的にそれを、天引きした翌月に税務署に納付しなければならないことになっています。

 

本来、雇われている人が各自、自分で一年分の所得税などをその翌年2月16日から3月15日までに確定申告して、納税するべきところを、事業者が代わりに、およそのところまで計算と納税を手伝っている形になります。

 

年末調整はその源泉徴収の延長、とりあえずその完結形として、特別ほかに所得や控除すべきものがなければ、12月の給与、賞与が決まれば、その人の一年間の所得が決まるので、雇っている事業者が、仮の所得税等の確定申告の計算をして、天引した税金に差額があったら、精算しますよという制度です。

 

雇われている人にとっては、自分の税金の計算をしなくてよい点と、予め毎月のように納税しているので、いっきに多額の納税を迫られる必要がない点がありがたいところです。

その分事業者の方の事務負担が大きくなりますが。

 

年末調整では、各月の給与、賞与などからの源泉徴収を源泉徴収税額表などに従って行っていれば、最低でも10円以上は天引きし過ぎの結果となり、従業員に還付となる結果となるのが通例です。

しかし、給与額、扶養家族、社会保険料の変更、転職などにより、場合によっては、今までの天引き合計額が少なく、徴収することで精算となる場合もあります。

 

朝三暮四ということわざがありますね。

サルを飼っている人が、サルに木の実を、朝方3つあたえ、夕方に4つ与えていたところ、サルが不満を訴えたので、朝4つ与え、夕方3つ与えることに変更したら、大喜びしたという。

結果は同じなのに、表面上変わったのでそれに惑わされるというたとえです。

年末調整もその調整額が還付であると、勤め先がちゃんと計算してくれているんだな、と思いますが、その調整額が徴収となると、なぜか損している気分に成りますね。

事業者が、毎月の給与などからの天引徴収額(所得税にかぎらず社会保険料なども)を、何らかの原因でその金額に迷ったら、それほど大きな差額でない限り、とりあえず多めに天引しておいて、後で精算して返す方が、結果は同じですが、お互いに気分がよいと思います。