相続の開始があったことを知った日の翌日から・・(相続税の申告期限)

相続税の申告は、相続又は遺言(一定の贈与も含む)により財産を取得した人が、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に、原則、被相続人が亡くなった当時の住所地の所轄税務署へする必要があります。

相続の開始があったことを知った日の翌日、というのは大変まどろっこしいですが、実はひとつひとつ丁寧に考えられた結果のいいまわしとなっております。

相続の開始があったこととは基本的に被相続人が亡くなったことをいいますが、例えば、被相続人となる人が行方不明になってしまい、死亡したとみなされた場合はその失踪宣告があったことをいいますので、亡くなったと単純に言い切れない事情があります。

 

被相続人が亡くなった日が9月25日で、相続人Aがその亡くなったことを知ったのが、その晩深夜零時10分だとすると、当然知った日は26日となります。

相続人Bがその被相続人の亡くなったことを知ったのが海外出張していて連絡のタイミングが合わず10月10日だとすると知った日は当然10月10日となります。

特別な、知った日には次のようなケースがあります。

 

相続開始後、認知に関する裁判により相続人になった場合、知った日はその裁判の確定があったことを知った日

停止条件付遺贈によって財産を取得した者の場合、その条件が成就した日

(例えば、遺言で孫が結婚したら、孫に500万円あげる、とあった場合の孫が結婚した日

 

また相続の開始があったことを知った日の翌日、の翌日というのがまた独特の表現ですね。

被相続人が亡くなった日が9月25日だとして、相続人がその亡くなったことを知ったのが同じ25日だとすると、相続の開始があったことを知った日から10月以内までとすると翌年7月24日までとなり、暦的に対応する同じ日にち(25日)になりません。

 

知った日の翌日とすれば、申告期限は翌年7月25日となり、暦的に対応する同じ日となり、単純にわかりやすくなるという理由からそう決めたと思われます。

 

また、ちょっと変なのが、4月30日が相続開始があったことを知った日だとすると、申告期限は翌年2月28日(うるう年は29日)となります。

月末の応当日は、10か月後の月末となり、2日も早まって、不利な感じがしますが、月末はその他にも30日、31日がありますので、正確に日数を数えるとなると、わかりづらくなるため、単純にわかりやすくしようとする理屈があります。

 

申告期限が土曜、日曜、祭日の場合は、これらの日の翌日となります。これは税務署も銀行なども休みのためですね。

さらに申告期限が年末12月29日から翌年1月3日にあたる場合、1月4日となりますね。さすがに年末年始ですから税務署がお休みです。

相続税申告書は、各相続人らがそれぞれ別々に作成し、提出しても構いませんが、余程仲が悪くない限り通常共同で作成して提出します。

 

*相続税の税金の納付期限も、原則は提出期限と同じ日となっております。