事業計画書(創業計画書)を作る理由  

開業しようとするときの事業計画書について、なぜ必要なのか整理しました。

[1]なぜ事業計画書を作る必要があるのか?

なぜ事業計画書を作る必要があるのか?

開業して事業が、とりあえず3年先まで潰れずに継続するためです。

石の上にも3年といわれるように、人が何か一大決心をして始めようとするときには、余程のことがない限り、最低でも3年間くらいは、厳しくても耐えられる、またはそもそも耐える予定で始めるものではないでしょうか。

4年目です。軌道に乗っていなければ大変厳しいものになると思います。しかしここまで頑張ってきてまだ軌道に乗ってこない。大変もったいない、もう少し辛抱しよう。のるかそるかの勝負のときです。

そして5年目です。ここにきてまだ先が見えないなら、もう限界です。潮時だと思います。人生そこまで一つのことにこだわる必要ないと思います。

開業当初に、頭の中にある計画を文章、数字または図で表すことにより、3年先までの予定と不安材料を見通して、少なくとも3年間は安心して事業を継続していけるような力強いガイドを作ること。それが事業計画書を作る理由です。

[2]具体的な作成理由は二つある

上記の理由は抽象的な話ですが、具体的には以下の二つの理由で事業計画書を作ります。

①お金を借りるために作る

お金を貸す側からすれば、貸したお金は確実に返してもらう必要があります。

事業をすでに何年かやっている方であれば、決算書、営業実績、などの資料がありますので、それらを貸したお金を確実に返してもらえるかどうかの判断材料にできます。

しかし、これから開業する方はまだ決算書も営業した実績もないので、その代わりお金を返してもらう重要な判断材料として、事業計画書(または創業計画書)の提出を求めます。

お金を借りようとする方はもちろん一生懸命ですが、貸す方も審査は真剣です。

なぜなら、初めは返してくれそうに見えても、のちのち結局は返さない、または返せない方が、五万といるからです。

初心時の事業計画書すら満足に書けない、又は書こうとしない方にお金は貸せません。

②自分自身の事業計画のフィードバックのために作る

この事業でやっていこう、やっていけるとイメージできて、熱意があっても、いざそれを書類として文章と数字と図で表すとしても、なかなか進まないものです。

創業の動機に、熱意あります!と口頭では力強く言えても、いざ文章にすると、「小さい頃から夢でした。熱意はすごくあります」それだけでは熱意が伝わりません。

一度頭を冷やして、自分の過去の出来事、環境、経験からその事業につながるビビッときたときのエピソード。熱意で古本屋をはしごして関連書籍を探し、読み漁ったこと。熱意かあるからこそ他人との思いがけない温度差、同業のリサーチで感じた問題意識などをひねり出し、できるだけ書き出してみる必要があります。

その過程で、浮かばない、書けない、というのであれば、実はそれほど熱意はもともとないのかもしれない。石の上に3年、そこまで辛抱できないかもしれない。

また、売上予測、仕入予測なども、なるべく細かい資料に基づいて作成する必要があります。開業前で取引先、お客さんも未知数なのであれば、自分で市場調査したり、行政官庁や商売の関連団体などの統計資料などにも当たってみる必要があります。

試算したら、当初思ったより利益は見込めないかもしれない。

このように自分に自問自答しながら創業計画書を作る過程で、事業の計画の問題が否応なく浮かび上がってきます。

まともに作ろうとすればするほど、時間も手間もかかります。

*以前小説家の大江健三郎氏が、”消すことによって(小説を)書く”と書いておられましたが、事業計画書も、書いては消し、書いては消し、を繰り返しながら、やっと審査に通りやすい事業計画書が作られます。