会社設立時の現物出資

会社を設立するときに、まず元手となる出資が必要ですが、そのうち現物出資というものを確認してみました。

[1]現物とは

 

現物出資の現物とは、現金以外のものをいいます。

例えば、商品、有価証券、自動車、土地、建物、特許権、知的財産権、パソコン、機械装置などです。

 

普通、資本金となる元手(=出資)は現金であり、その現金で会社が必要な仕入商品や設備を購入することから会社の業務がスタートしますよね。

何かを買うにせよ、何かをするにせよ、当然ながら現金が一番必要で便利なものですが、会社の元手として現金以外にも、会社の仕事ですぐ使えるパソコンや自動車などであれば、一応は元手として成り立ちます。

 

[2]現物出資の手続は、手間もお金もかかる

 

現物で出資することを現物出資といい、設立時の現物出資は発起人しかできません。

現物出資がある会社設立登記は、手間がかかります。

手間がかかる理由は、現物、例えば土地、マンションなどが金銭的にいくらの価値があるのか評価が難しいからです。過大な評価で株式と交換されてしまい、資本金の金額に成ってしまっては、他の株主との間の不公平や、債権者の損害につながります。

このため設立登記をするにあたり、現物出資について、次のような規定があります。

①原則、裁判所に検査役を選任してもらい、その検査を必要とします。

多額の費用(およそ50万円以上)と、完了まで数か月かかります。

②定款にその内容を記載しなければならない。

具体的には次の事項です。

出資者の氏名・名称

その財産及び価額

出資者に割り当てる株数

③資本金の額に計上に関する証明書の作成が必要

会社設立時の代表取締役が作成する、資本金の額が会社法及び会社計算規則の規定に従って計上されたことを証する書面を作成する必要があります。

④設立時の取締役などの調査報告書の作成が必要

検査役の検査がある場合を除き、現物出資がある場合、現物出資が適正かどうか、設立時取締役全員の署名押印による調査報告書が必要となります。

⑤財産引継書の作成が必要

現物出資の対象物が会社に引き渡されたことの確認として、財産引継書の作成が必要。

 

*会社設立後、車、不動産などは名義変更が必要になり、登録免許税、取得税などもかかります。また、出資する個人に所得税がかかる場合があります。

 

[3]検査役の検査が不要となる場合

 

原則的に現物出資がある会社設立登記は、上記の検査が必要ですが、以下のいずれかの場合は、検査は必要ありません。

①定款記載の現物出資の額が500万円以下の場合

②市場性のある有価証券の場合

評価額が客観的にはっきりしているので、検査する必要はありません。

③資格者の証明があるとき

弁護士、公認会計士、税理士などの証明書(不動産については、不動産鑑定士の鑑定評価が別途必要)がある場合

 

[4]その他

 

会社設立にあたり、資本金は少額でも成立しますが、なるべく大きい方が、信頼感がやはり出ますよね。

手持ち資産を活用できる点で、現物出資は有効です。

ただ、現物出資をするなら、ひとまずは500万円までと考えた方がよさそうですね。